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先日、レガシーの環境を揺るがす大きな禁止改訂が発表された。
《時を越えた探索/Dig Through Time》の禁止―。
手札や土地破壊によって失われたリソースをたった2マナで補給する
そのカードの禁止に、多くの非青デッキ使いは昂ぶったことだろう。

Eva Green - Nakajima Koichi 5th Place at MMFC on 9/12/2015
Lands(23)
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
2 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
4 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
3 《暗黒の深部/Dark Depths》
3 《Bayou》
1 《Scrubland》
3 《不毛の大地/Wasteland》
2 《沼/Swamp》
1 《森/Forest》


Creature(15)
3 《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》
4 《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
2 《闇の腹心/Dark Confidant》
2 《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》


Spell(22)
3 《小悪疫/Smallpox》
4 《突然の衰微/Abrupt Decay》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《Hymn to Tourach》
2 《未練ある魂/Lingering Souls》
3 《生ける願い/Living Wish》
3 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》


Sideboards
1 《暗黒の深部/Dark Depths》
1 《不毛の大地/Wasteland》
1 《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》
1 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
1 《Karakas》
1 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
1 《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》
1 《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
4 《神聖の力線/Leyline of Sanctity》
1 《仕組まれた疫病/Engineered Plague》
1 《クローサの掌握/Krosan Grip》
1 《根絶/Extirpate》
タルモゴイフの昔から存在し、現在は見かけることがほとんどなくなった
アーキタイプ、それがBGミッドレンジ―Eva Greenである。
タルモゴイフが必要なものの青を用いないその構成は
レガシーではお手軽な部類のデッキだった(現在はヴェールのリリアナの高騰でその地位も危うい)
ナカジマは白をタッチすることで《未練ある魂/Lingering Souls》の採用に成功。
フェアデッキがこのしぶといジャンク戦略を攻略するのはかなり骨が折れそうだ。
hymntotourachliliannaoftheveillingeringsouls
面白いのが《生ける願い/Living Wish》によるシルバーバレットだ。
サイドボードには、この3色だからこそ可能な、とにかくとがった1枚差しの
クリーチャーと土地がずらりと並んでいる。
しかも、少しでも隙があれば《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》と
《暗黒の深部/Dark Depths》コンボが対戦相手の喉首を狙う。
livingwishdarkdepthsvampirehexmage
冒頭で述べた通り、間違いなく今のレガシーは手札破壊戦術擁する
黒にとって追い風が吹いている状況だ。
今こそ、黒が強かった昔のアーキタイプを《探査/Delve》し、
データベースから《時を越えた探索/Dig Through Time》をしてみてはいかがだろうか。

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バーン。
マジックとともに歴史を刻んできたカード、《稲妻/Lightning Bolt》の昔から
由緒正しいアーキタイプとして、黒単に並んで根強い人気のあるデッキだ。
lightningbolt
Full Foil Burn - Yamakoshi Nozomi Finalist at MMFC on 8/9/2015
Creature(12)
4 《ゴブリンの先達/Goblin Guide》
4 《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
4 《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》

Spell(29)
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》
4 《Chain Lightning》
4 《裂け目の稲妻/Rift Bolt》
4 《発展の代価/Price of Progress》
2 《灼熱の血/Searing Blood》
4 《火炎破/Fireblast》
2 《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》
1 《極上の炎技/Exquisite Firecraft》
Land(19)
10《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》
4 《乾燥台地/Arid Mesa》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》

Sideboard
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1 《紅蓮地獄/Pyroclasm》
2 《赤霊破/Red Elemental Blast》
2 《紅蓮破/Pyroblast》
1 《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
3 《粉々/Smash to Smithereens》
2 《罠の橋/Ensnaring Bridge》
2 《難問の鎮め屋/Vexing Shusher》
基本的な構成は変わらないが、使い手ごとに独自のチューンがあるのも
バーンの面白いところだ。
ヤマコシは早速、マジックオリジンの新カード《極上の炎技/Exquisite Firecraft》を投入。
過去に幾つか存在した"3マナ4点火力"の事実上、上位互換であるこのカードは
「最後の一撃だけ打ち消せばよい」とライフ計算を誤った対戦相手を葬る炎となる。
exquitefirecraftsearingbloodsearingblaze
《焼尽の猛火/Searing Blaze》ではなく
《灼熱の血/Searing Blood》を採用しているのも独自の点といえるだろう。
どちらも一長一短だが、クリーチャーがいればほぼ確実に仕事をする《灼熱の血/Searing Blood》と
それに加えてフェッチランドがなければ十二分とは言えない《焼尽の猛火/Searing Blaze》。
安定性やメタゲームを重視したヤマコシらしいチューンだ。
vexingsusher
サイドボードは完全に青いデッキをメタっている。
《難問の鎮め屋/Vexing Shusher》なんて、よほど青いデッキが多いと踏まない限り
容易に投入できるものではない。しかしそれで準優勝という結果を残しているのだから
ヤマコシのメタゲームの妙が光っているレシピといえるだろう。

この夏、フェアデッキにはスピードで、青いデッキにはサイドボードで勝てる
バーンという選択肢が、レガシーを熱くさせるのは間違いなさそうだ。

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レガシーは無限の可能性を秘めたフォーマットだ。
「《渦まく知識/Brainstorm》が入っていないデッキはそれだけでハンデを負っている」とは
誰かの言葉だが、そのハンデ差を爆発力で埋めてしまうデッキも存在する。

レガシー童貞親和 - Ozaki Takafumi Finalist at MMFC on 07/05/2015
creature(24)
4 《メムナイト/Memnite》
4 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4 《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
4 《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》
2 《エイトグ/Atog》
2 《刻まれた勇者/Etched Champion》
4 《金属ガエル/Frogmite》

spell(20)
4 《オパールのモックス/Mox Opal》
4 《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
2 《急送/Dispatch》
4 《頭蓋囲い/Cranial Plating》
2 《投げ飛ばし/Fling》
4 《物読み/Thoughtcast》
land(16)
4 《大焼炉/Great Furnace》
4 《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》
3 《教議会の座席/Seat of the Synod》
1 《古えの居住地/Ancient Den》
3 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
1 《空僻地/Glimmervoid》

sideboard(15)
2 《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
2 《頑固な否認/Stubborn Denial》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》
2 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
2 《血染めの月/Blood Moon》
1 《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》
2 《灰燼の乗り手/Ashen Rider》
《渦まく知識/Brainstorm》が入っていないばかりか、各種デュアルランドや
大よそのレガシーでよく見かけるカードの大多数が採用されていない。
レガシーでは、シナジーよりも単体のカードパワーが高いものが正義とされるが
このデッキはカードパワーを乗り越えるシナジーの塊になっている。

disipleofthevaultatog
Ozakiの親和は懐かしいパーツがいっぱいだ。
《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》はかつてスタンダードの親和の必須パーツだったが
自身がアーティファクトでないこと、単体で仕事をしないことから次第に数を減らしていった。
このデッキでは《エイトグ/Atog》、《投げ飛ばし/Fling》といった生け贄手段と
がっぷり四つに組んで、その爆発力の向上に一役買っている。

ユニークなのは《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》が採用されていないことだ。
奇跡とのマッチアップを考えるとほぼ必須パーツだと思われるが
Ozaki流の、メタゲーム上の判断や色マナの安定を優先させた結果だろう。
実際のところ、《血染めの月/Blood Moon》や《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》が
展開された盤面では、モダンでは採用できない各種アーティファクト・ランドの利便性には適わない、
という判断もうなずけるものだ。

コスト・パフォーマンスの面でも、親和デッキは頭一つ抜けている。
この夏、レガシーは敷居が高くて一歩踏み出せない…という人はこんなデッキはいかがだろうか。
モダンでも使いまわせるパーツが多いので、今後のMTGライフをさらに快適にさせてくれることだろう。

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いつの時代も、環境を掌握するのはコントロールだ。
先日行われたアジア初のレガシーグランプリ、GP京都では奇跡コントロールが優勝した。
あのKarsten Cotterもレガシーにおいて最良の選択と言わしめるほど、
奇跡デッキのコントロール性能を称賛している。

しかしレガシーにおいて、コントロールとは青白だけのものなのだろうか。
答えはもちろん、否だ。

青黒ポックス - Sugita Tsubasa 3rd Place at MFC on 06/28/2015
Spell(36)
2 《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
3 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
1 《冥府の教示者/Infernal Tutor》
3 《Hymn to Tourach》
4 《小悪疫/Smallpox》
1 《罠の橋/Ensnaring Bridge》
2 《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
2 《毒の濁流/Toxic Deluge》
4 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
2 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
2 《Nether Void》
2 《時を越えた探索/Dig Through Time》
Land(24)
1 《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》
1 《沼/Swamp》
2 《Bayou》
2 《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》
2 《The Tabernacle at Pendrell Vale》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
3 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
3 《Underground Sea》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
4 《不毛の大地/Wasteland》

Sideboard
2 《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
1 《苦花/Bitterblossom》
2 《突然の衰微/Abrupt Decay》
2 《クローサの掌握/Krosan Grip》
2 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
3 《仕組まれた疫病/Engineered Plague》

digsmallpox
《時を越えた探索/Dig Through Time》はレガシー環境を一変させたパワーカードだ。
デルバーデッキを始め、手札を消耗する青いデッキには必ずといっていいほど投入されている。
もちろん、奇跡コントロールも例外ではない。
Sugitaが目をつけたのは、"盤面を掌握しきれなくしないための保険"という、マイナスの考えではなく
"こちらから消耗戦を仕掛けた上での補充"というプラスの思考だ。
そして青白から青黒というカラーにシフトしたことによる、攻めのコントロール構築に仕上がっている。

コンボ相手には、《暗黒の儀式/Dark Ritual》で攻め立てるのがいいだろう。
ハンデスと《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》があればプランの破滅は確実だ。

フェアデッキ相手は《小悪疫/Smallpox》と《不毛の大地/Wasteland》で土地を攻める。
ここ最近、デルバーは土地対策を怠ってきた。《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》の怖さを知るときだ。


nethervoidinfernal tutor
ポックス・デッキにおいて、ハンデスで干渉できない唯一の行動―トップデッキが一番脅威となる。
さらに黒という安定性に難のある色は、白を加えたコントロールに比べ不安定と思われるのも無理はない。
その点を、Sugitaは見事にカバーしている。
《Nether Void》は相手の行動に完全に蓋をする一撃だ。
こちらも動けなくなるが、《忍び寄るタール坑/Creeping Tar Pit》がいるので問題はない。
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》、《冥府の教示者/Infernal Tutor》は
明らかにトップデッキ勝負となることを見越した上での算段だろう。
青黒では《終末/Terminus》が使えないが、タイミングを問わない《毒の濁流/Toxic Deluge》をプレイできる。

サイドボードはさらに強烈だ。
《突然の衰微/Abrupt Decay》は投入するほとんどの相手に大打撃で、しかも対処法がない。
《仕組まれた疫病/Engineered Plague》は部族デッキを沈黙させるのに十分で
奇跡ではできない芸当だ。
1枚差しの《苦花/Bitterblossom》は、ライフを詰めるのが遅いデッキで対応するのは相当困難だろう。


数年前、モダンとエクステンデッドを制した八十岡翔太のデッキは青黒、そして緑がベースだった。
エターナル環境におけるUBというカラーには無限の可能性が眠っているのかもしれない。

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